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2005年 11月 03日
この秋、フランスは精神分析を巡る話題でもちきりである。発端は今年9月1日に Le Livre noir de la psychanalyse 『精神分析黒書』なるセンセーショナルなタイトルの本が Les Arènes(レザレンヌ) 社より出版されたこと、この本を巡ってマスコミや著名な精神分析家を巻き込んだちょっとした論争、もしくは「騒動」が展開しているらしいのだ。 9月早々から Le Nouvel Observateur(ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール)、L'Express(レクスプレス)、Le Monde(ル・モンド)、Le Figaro (ル・フィガロ)、Le Point (ル・ポワン)等がこぞって取りあげ、またテレビ局 France2(フランス2)の書評番組 Campus(カンピュス)でも9月29日に大きく取りあげられ、賛否両論の議論が巻き起こっているのだという。 (以上の情報は『セミネール通信』に寄稿しているブリュッセル在住の清水由美子氏からいただいたものである。由美子氏に感謝!) この Le Livre noir de la psychanalyse の編者は反フロイト派の Catherine Meyer(カトリーヌ・ムイエ)、著者として名を連ねる4人は、極めて大雑把なまとめ方をすれば、哲学系の Mikkel Borch-Jacobsen (ミケル・ボルク=ヤコブセン/日本でも法政大学出版局から出版された『ラカンの思想〜現代フランス思想入門』 で知られる哲学者、歴史家)の他は、Jean Cottraux、Didier Pleux, Jacques Van Rillaer、いずれもテラピー(セラピー)系とでもいうのか、アメリカのAaron T.Beck (アーロン・T・ ベック)、Albert Ellis (アルバート・エリス) 等を権威とする(実際、彼らはこの本の協力者に名を連ねている)認知療法、認知行動療法、論理情動行動療法等を専門とする心理学者、臨床家たちのようである。 何やら背景がうっすらと透けて見えてきそうな布陣だが、更に興味深いのは「薮から棒」の攻撃を受けた「精神分析」陣営から、この本に対する反論の書(あるいはこの現象に対する分析の書?)が2冊、近々出版されるらしい、ということだ。 著者は、一人は日本でも『ラカン伝』の著者として知られる Elisabeth Roudinesco (エリザベート・ルディネスコ)、タイトルは Pourquoi tant de haine ? : Anatomie du Livre noir de la psychanalyse 『何故、これほどの憎悪が?:精神分析黒書の解剖学』 Navarin(ナヴァラン) 社より間もなく出版予定。 もう一人はラカンの娘婿でセミネールの編者としても知られる Jacques-Alain Miller(ジャック=アラン・ミレール)、タイトルはL'anti-livre noir de la psychanalyse 『反=精神分析黒書』 Seuil(スイユ)社より来年出版予定とのことである。 by ys-euro | 2005-11-03 12:25 | journal
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